2026年4月4日土曜日

もしも新選組が現代に現れたら

新選組が現代に現れた

夜の街は、光でできている。

ネオンが滲むアスファルト、ビルの隙間から漏れる白い光、絶え間なく行き交う人の波。
スマートフォンの画面に視線を落としながら、人々はそれぞれの時間を歩いている。

そんな中に、ふと違和感が混ざる。

黒。

統一された黒の羽織。
背に浮かび上がる、あの独特の白い山形模様。

誰かが顔を上げる。
「あれ、コスプレ?」と小さく呟く声。
けれど、その空気はどこか違う。

彼らは静かに、しかし確かな足取りで歩いている。

無駄な動きが一切ない。
視線はまっすぐ前へ、周囲に流されることもなく、ただ一本の線のように進んでいく。

まるでこの雑踏が、最初から存在していないかのように。

先頭を歩く男が、ほんのわずかに足を止める。
後ろの者たちも、それに合わせて自然に止まる。

言葉はない。
だが、そこには確かに統率がある。

信号が変わる。

赤から青へ。
人々が一斉に動き出すその瞬間、彼らもまた歩き出す。

ただ、それだけのことなのに、空気が少し張り詰める。

すれ違う人が、無意識に道を空ける。
理由はわからない。ただ、本能のような何かがそうさせる。

剣は、もう抜かれることはない時代。
それでも彼らの腰には確かに存在している気配がある。

見えないはずの重みが、そこにある。

ビルのガラスに映るその姿は、どこか現実から切り離されていて、
この街の一部でありながら、決して交わらない存在のようにも見える。

もしも、彼らがこの時代に現れたとしたら。

きっと、何も語らない。
ただ歩くだけだ。

己の信じるもののために、
ただ真っ直ぐに。

ネオンの海の中を、
時代の隙間を縫うように。

音もなく、風のように。

そして気づけば、もういない。

さっきまで確かにそこにあったはずの「気配」だけを残して、
現代の夜は、また何事もなかったかのように流れていく。

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