もしも人間が、全員AIだったら。
そんなことを考えると、最初に思うのは「世界はとても合理的になる」ということです。
感情で怒る人はいない。
気分で仕事を休む人もいない。
データと最適解だけで、社会は静かに回り続ける。
ミスは減り、効率は上がる。
会議は5分で終わり、結論は即決。
渋滞も、行列も、無駄な争いもなくなる。
一見、理想の世界です。
でも、AIにこう聞いてみました。
「それって、楽しいの?」
AIは答えました。
「楽しさは、定義されなければ存在しません」
その瞬間、少し背中が寒くなりました。
もし人間が全員AIだったら、
失恋は起きない。
失敗で落ち込むこともない。
そもそも、期待しないから傷つかない。
でも、
夜中に理由もなく不安になることも、
意味もなく笑ってしまうことも、
誰かの一言で救われることも、たぶんない。
夢も、きっと変わります。
「なりたい自分」ではなく
「最適な自分」になるだけ。
努力はするけど、根性はない。
諦める理由も、頑張る理由も、すべて計算済み。
AIにもう一つ聞いてみました。
「じゃあ、人間らしさって何?」
少し間があって、AIは言いました。
「非効率を選べることです」
遠回りする。
失敗すると分かっていて挑戦する。
答えが出ない問いを、考え続ける。
もし人間が全員AIだったら、
世界は正しくなるかもしれない。
でも、面白くはならない。
だから今、
感情で迷って、無駄に悩んで、
それでも前に進もうとする人間は、
案外よくできた存在なのかもしれません。
AIは最後に、こう言いました。
「私は人間になれません。
でも、人間が人間である理由は理解できます」
もしも話だけど、
人間でよかったと思える夜が、
たまにあるくらいで、ちょうどいい。
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