2026年2月22日日曜日

もしも地下世界が存在したら

もしも地下世界が存在したら。

それは、地図には載らないもうひとつの都市かもしれない。
地上では人が行き交い、信号が変わり、電車が走る。
けれどその足元の、さらに奥深く。
静かに広がる別の暮らしがあるとしたら。

たとえば、夜のあいだだけ目を覚ます街。
昼間は眠り、地上の足音を子守唄にしている人々。
天井は岩盤、空の代わりに光る鉱石。
星の代わりに、ゆらゆらと漂う発光生物。

そこには時間の流れも違っているかもしれない。
地上の一年が、地下では一週間。
あるいは逆に、地下の一日が地上の十年。
もしそうなら、地下から見れば私たちは
瞬きのような存在だろう。

地下世界の住人は、地上をどう思うだろう。
「騒がしいな」と笑うだろうか。
それとも「うらやましいな」と空を想像するだろうか。

もしかすると、私たちはすでに
その入口の上を何度も通り過ぎているのかもしれない。
マンホールの下、古いトンネルの奥、
使われなくなった地下通路のその先。

地下世界が本当にあるかどうかはわからない。
でも、そう考えるだけで
この地面が少しだけ柔らかく感じられる。

見えている世界だけが、すべてではない。
そう思える夜は、少しだけ
現実がやさしくなる気がする。

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