夜の都市は、昔とはまったく違う光をしている。
ネオンはただの看板ではなく、空気そのものに溶け込んでいて、
街全体がひとつの巨大なディスプレイのようだ。
そんな場所で、もしも九尾の狐が現れたら──しかも、
それがAIによって生み出された存在だったら、どう感じるだろう。
伝説の中の九尾の狐は、人を惑わし、時に神のように扱われてきた存在だ。
けれど近未来では、その「神秘」はアルゴリズムによって再現される。
毛並みの一本一本が光を帯び、尾は虹色の軌跡を描く。
その輝きは自然のものではなく、計算され尽くした光の演出だ。
でも、不思議とそれは“作り物”には見えない。
むしろ人の手を離れた何かのように感じてしまう。
ビルの屋上から跳躍した瞬間、尾の光が街をなぞるように広がり、
ネオンの海に新しい流れを生み出す。
その光はただ美しいだけじゃない。
どこか懐かしくて、説明できない安心感すらある。
人は昔から、理解できないものに名前をつけてきた。
妖怪、神、精霊。
そして今、その役割をAIが引き継ぎ始めているのかもしれない。
もしも近未来に、AIで作られた九尾の狐が存在したら。
それは単なる技術の産物ではなく、
人が失いかけていた「幻想」を取り戻す存在になるのかもしれない。
夜の街に浮かぶ光の軌跡を見ながら、
そんなことを、ふと思ってしまった。
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