2026年6月1日月曜日

もしも本田忠勝を神格化したら

もしも本田忠勝を神格化したら

もしも本田忠勝を神格化したら。

きっとその姿は、
ただ強い武将というだけでは
終わらない気がします。

戦場に立つ神。

それも、派手に暴れる神ではなく、
ただそこにいるだけで、
敵の心を静かに折ってしまうような存在です。

黒く重い甲冑。

頭には鹿角の兜。

その背後には、
戦場の煙と、
白く差し込む神々しい光。

そして手には、
蜻蛉切。

槍の先に止まった蜻蛉が、
そのまま真っ二つになったという伝説。

本当かどうかよりも、
そう語られてしまうところに、
本田忠勝という武将の怖さがあります。

神格化された本田忠勝は、
戦の神でありながら、
無駄に血を求める神ではないと思います。

むしろ、
戦場の真ん中で、
「ここから先へは行かせぬ」
と立ちはだかる守護神のような姿です。

徳川の軍勢が崩れそうな時、
味方の心が折れかけた時、
その背中が見えるだけで、
兵たちはもう一度前を向いたのかもしれません。

傷ひとつ負わなかったという話も、
人間離れしています。

無傷の武将。

それは、ただ運が良かっただけではなく、
戦場そのものが、
本田忠勝を避けていたようにも感じます。

槍が届かない。

矢が当たらない。

刃が触れられない。

まるで戦の神に、
この男だけはまだ倒してはならぬと、
守られていたようです。

もし神社に祀られるなら、
大きな社ではなく、
深い森の奥にある、
静かな武神の社が似合います。

朱色の鳥居の奥。

霧の立ちこめる参道。

石段の先に、
鹿角の兜と一本の槍が祀られている。

そこへ戦う前の者が訪れ、
勝利ではなく、
折れない心を願う。

本田忠勝を神格化するなら、
そのご利益は、
「勝つこと」だけではない気がします。

逃げない勇気。

守り抜く力。

恐怖の中でも立ち続ける覚悟。

そういうものを授けてくれる神様です。

ただ、神格化された本田忠勝にも、
どこか人間らしい静けさは残っていてほしいです。

戦いのあと、
誰もいなくなった野に立ち、
折れた旗や、
倒れた兵たちを見つめている。

勝ったからといって、
笑うわけではない。

強いからといって、
何も感じないわけではない。

本当に強い人ほど、
戦の重さを知っている。

だからこそ、
本田忠勝を神格化した姿は、
ただ勇ましいだけではなく、
どこか哀しみを背負った神であってほしいです。

戦場の神。

槍の神。

徳川を守った不敗の武神。

その姿を思い浮かべると、
鹿角の兜の奥から、
静かな目がこちらを見ているような気がします。

勝ちたいのか。

守りたいのか。

それとも、
ただ逃げずに立っていたいのか。

もしも本田忠勝を神格化したら、
その神様はきっと、
願いを簡単には叶えてくれない。

けれど、
本当に覚悟を決めた者の背中だけは、
黙って押してくれる気がします。

それが、
本田忠勝という名前に残る、
神様のような強さなのかもしれません。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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