もしも三国志の時代に写真があったなら、
大喬はどのような姿で写っていたのでしょうか。
大喬といえば、江東を代表する美しい女性として知られています。
妹の小喬と並び、「江東の二喬」と呼ばれたほどの美貌の持ち主でした。
しかし、彼女の本当の表情や声、日々の暮らしについては、ほとんど伝わっていません。
歴史に残っているのは、孫策の妻になったことと、絶世の美女だったというわずかな記録だけです。
だからこそ、もし大喬の写真を作れたら、華やかな宴の席ではなく、誰にも見られていない静かな時間を写してみたいと思いました。
舞台は、夜の江東にある静かな庭園です。
月の光が池の水面に映り、風に揺れる柳の葉が、かすかな音を立てています。
大喬は池のほとりに立ち、遠くにある長江の流れを見つめています。
豪華な衣装をまとっていますが、その姿から感じられるのは、派手な美しさよりも、落ち着いた気品です。
長い黒髪を自然にまとめ、淡い色の衣を身につけた大喬。
誰かに名前を呼ばれたのか、肩越しに静かに振り返っています。
その表情には、少しの驚きと、言葉にできない寂しさが浮かんでいるように見えます。
大喬の夫となった孫策は、江東の小覇王と呼ばれた武将でした。
若くして江東を駆け抜け、多くの戦いに勝利しながら、自らの国を築こうとした人物です。
大喬にとって孫策は、英雄であると同時に、戦場からいつ戻るか分からない夫でもあったのでしょう。
馬の音が聞こえるたびに、帰還を期待した夜もあったかもしれません。
遠くで軍船の明かりが見えるたびに、無事を祈ったこともあったかもしれません。
けれど、孫策は若くして命を落とします。
英雄の妻として歴史に名を残した大喬ですが、その後の人生については、ほとんど記録されていません。
残された彼女が何を思い、どのような日々を過ごしたのか。
それを知ることはできません。
だから、この一枚の写真には、歴史書には残らなかった大喬の心を込めたいと思いました。
静かな庭園で、遠くを見つめる一人の女性。
彼女は絶世の美女としてではなく、大切な人の帰りを待ち、短い幸せを胸に抱きながら生きた一人の人間として、そこに立っています。
もし三国志の大喬の写真を作れたら。
そこに写るのは、華やかな伝説の美女ではなく、戦乱の時代を静かに生きた、優しく気高い女性の姿なのかもしれません。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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