もしも高杉晋作を神格化したら、彼はどんな神になるのでしょうか。
きっと、静かな場所で人々を見守る神ではないと思います。
燃えるような時代の中に立ち、動けなくなった人の背中を押す神。
止まった世の中に風穴を開けるような、激しくも美しい神になる気がします。
高杉晋作という人物には、どこか短い炎のような印象があります。
長く燃え続ける灯火というより、一瞬で夜を裂く稲妻のような存在です。
だから神格化するなら、彼は「維新の風を起こす神」になるのではないでしょうか。
暗い空の下、古い町並みの屋根を越えて、強い風が吹く。
その風の中心に、高杉晋作の姿がある。
派手な鎧を着た武神ではなく、着流しに羽織をまとい、静かに三味線を抱えている。
けれど、その目だけは眠っていない。
時代がまだ動く前から、すでに次の夜明けを見ているような目をしているのです。
彼のまわりには、剣ではなく風が集まります。
倒れかけた旗、揺れる提灯、舞い上がる砂ぼこり。
そのすべてが、古い時代が終わろうとしていることを知らせているようです。
神になった高杉晋作は、人に安らぎだけを与える神ではないと思います。
むしろ、迷っている人に問いかける神です。
「本当にそのままでいいのか」
「怖くても、一歩進むしかない時があるのではないか」
そんな声が、風の中から聞こえてくるような気がします。
ただし、その声は怒鳴るようなものではありません。
少し笑っているようで、どこか寂しさも混じっている。
高杉晋作らしい、軽やかさと覚悟が同時にある声です。
もし彼を祀る神社があるなら、山奥の静かな社ではなく、海の近くにある古びた小さな社が似合います。
潮風が吹き、遠くに船の影が見える場所。
夜明け前の空が青く沈み、水平線の向こうから新しい光が差し込もうとしている場所です。
社の前には、古い刀や軍旗ではなく、一挺の三味線が奉納されているかもしれません。
戦うためだけの神ではなく、時代を笑い飛ばしながら変えていく神。
それが、神格化された高杉晋作の姿なのだと思います。
人は変化を怖がります。
今あるものが壊れるのは、誰だって不安です。
けれど、壊れなければ見えない景色もあります。
高杉晋作を神格化した存在は、そのことを知っている神なのかもしれません。
長く生きた神ではなく、短く強く燃えた神。
未来を約束してくれる神ではなく、未来へ向かう勇気を渡してくれる神。
もしも高杉晋作を神格化したら。
それは、時代の闇に立ち止まる人々へ、夜明け前の風を届ける神になるのだと思います。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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