2026年6月27日土曜日

もしも誰が見ても感動する景色があったら

もしも誰が見ても感動する景色があったら

もしも、誰が見ても感動する景色がこの世界のどこかにあったら。

それはきっと、ただ美しいだけの場所ではないのだと思う。

青い海が広がっているとか、山の向こうに夕日が沈むとか、満天の星が降るように見えるとか、そういう言葉だけでは足りない景色。

そこに立った瞬間、胸の奥にあったものが静かにほどけていくような場所。

昔のことを思い出す人もいる。

忘れていた夢を思い出す人もいる。

ただ黙って、涙をこぼす人もいる。

その景色は、朝焼けと夕焼けが同時に重なったような空をしている。

遠くには青く霞む山々があり、その下には静かな湖が広がっている。

湖の水面には、空の色、雲の形、光の道が映っている。

風が吹くたびに、その景色は少しだけ揺れる。

まるで世界そのものが、ゆっくり呼吸しているように。

そこには大きな音はない。

人を驚かせるような派手さもない。

ただ、静かに美しい。

けれど、その静けさの中に、どうしてかすべてが入っている。

楽しかった日も、苦しかった日も、何もできなかった日も、誰かを大切に思った気持ちも。

誰が見ても感動する景色とは、たぶん、誰の心にもある何かに触れる景色なのだと思う。

目の前にあるのは山や湖や空なのに、本当に見ているのは自分の心の奥なのかもしれない。

もしもそんな景色があったら、人は少しだけやさしくなる気がする。

急いでいた足を止める。

怒っていたことを忘れる。

言えなかったありがとうを、誰かに伝えたくなる。

世界は何も変わっていないのに、自分の中の世界だけが少し変わる。

それが、本当に感動する景色なのかもしれない。

いつかその場所にたどり着けたなら、写真を撮る前に、まず深く息を吸いたい。

そして、何も言わずにしばらく見つめていたい。

誰が見ても感動する景色は、たぶん言葉にした瞬間、少しだけ小さくなってしまう。

だからこそ、その景色の前では、ただ静かに立っていればいい。

心が勝手に震えるまで。

涙が勝手にこぼれるまで。

この世界に生まれてよかったと、ほんの少しだけ思えるまで。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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