もしも天国があったら、そこは雲の上にあるきらびやかな場所ではなく、心が少しだけ軽くなる場所なのかもしれません。
静かな風が吹いていて、痛みも焦りもなく、誰かと比べる必要もない場所。
そこでは、もう会えなくなった人が、昔と同じように笑っているのかもしれません。
特別な言葉を交わさなくても、ただそばにいるだけで、「ああ、よかった」と思えるような時間が流れている気がします。
天国があるのなら、そこには怒りや後悔を少しずつほどいてくれるような、やさしい光があるのでしょう。
生きているあいだに言えなかった言葉も、届かなかった思いも、そこでなら静かに伝わるのかもしれません。
ただ、天国は遠い世界だけにあるものではないのかもしれません。
朝の光を見たとき、雨上がりの空を見たとき、誰かのやさしさに触れたとき、ほんの少しだけ天国のようなものを感じる瞬間があります。
つらい日が続くと、この世界には冷たいものばかりあるように思えてしまいます。
けれど、誰かがくれた一言や、小さな思いやりが、心の中に灯りをともしてくれることがあります。
もしも天国があったら、それは死んだあとに行く場所であると同時に、生きている人の心を支えてくれる希望なのかもしれません。
「いつかまた会えるかもしれない」
そう思えるだけで、今日を少しだけ歩けることがあります。
だから天国は、証明できるものではなくても、人の心に必要な場所なのだと思います。
大切な人を思い出すとき、空を見上げるとき、胸の奥が少しあたたかくなるなら、そこにはもう小さな天国があるのかもしれません。
もしも天国があったら。
そこはきっと、最後にすべてを許してくれる、静かでやさしい場所なのだと思います。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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